訪問介護ステーション リバティスクエア

2025年8月

③【「ヤングケアラー」という言葉が、いらない社会を目指して】


「ヤングケアラー」という言葉をご存じでしょうか。
病気や障がいを持つ家族の介護や家事を、年齢の若い子どもたちが担っている状態を指す言葉です。
近年、メディアなどで取り上げられることも増え、ようやく社会がこの問題に気づき始めています。
けれど本来、子どもたちは学び、遊び、将来の夢を育む時間を持つべき存在です。
その貴重な時間が「家族のために仕方ない」と削られてしまうことがあってはならない――
そう、私たちは考えています。

訪問介護ステーションとして、私たちは高齢者の生活をサポートしています。
けれどそのサポートは、ご本人だけでなく、ご家族の負担を軽くすることにもつながります。
つまり、「家庭の介護を子どもが担っている」ような状況にも、間接的に関わることができるのです。

たとえば、こんなケースに出会うこともあります:
• 要介護認定の手続き方法がわからず、誰にも相談できずにいるご家庭
• 「うちには手伝ってくれる人がいないから」と、介護サービスの利用をあきらめている家庭
• 子どもが学校から帰ってから、入浴や食事の介助をしていることに誰も気づいていない状況

私たちの役割は、単なる「介護の担い手」ではありません。
困っているご家族の声に気づき、制度やサービスへとつなぐ“最初の窓口”としての存在でもあります。

もし「子どもが手伝ってくれて助かっている」と思っていたとしても、
その“手伝い”が、本来子どもが担うべきではないものであれば、ぜひご相談ください。
介護保険サービスの活用や、地域の相談機関との連携を通じて、
お子さんの心と体に、余裕のある時間を取り戻すお手伝いができるかもしれません。

「ヤングケアラー」という言葉が生まれたのは、 そうした子どもたちの“声なき声”を、社会がようやく拾い上げようとし始めたからです。

でも、私たちは願っています。
いつか、「そんな言葉、聞かなくなったね」と言える時代が来ることを。

そのために、地域の中でできる支援を、
これからも大切に続けていきたいと考えています。
介護

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